厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によれば、不動産鑑定士の年収の平均は645万円です。
この年収は、信託銀行や大手不動産会社に勤務する比較的高収入の不動産鑑定士を含む数値ですので、鑑定業者に限れば、これよりも低くなります。
以前は独立開業型の資格として知られていましたが、公的土地評価の基準地の減少や、需要に対する有資格者の増加などにより、本来の鑑定評価だけでは開業は難しくなっています。また、廃業も珍しくなくなりました。
しかしその一方で、民間企業の出身者の中には、豊富な経験や人脈を生かし、証券化がらみの業務や企業買収時の資産価値評価など新たな需要に応じた分野で活躍し、1千万円を超える高い年収を得ている不動産鑑定士も存在します。
また、信託銀行や大手不動産会社の鑑定部に勤務する企業内 不動産鑑定士になった場合には高い年収が期待できます。
地方で古くから開業している不動産鑑定士の中には 高収入を得ている人もいます。
しかし、地方における不動産鑑定士は業界の規模が極めて小さく、新たな開業者を、業界として受け入れる余地が、極めて小さい現実があります。
開業者数が数十人しかいない県も多く、そのような県では、1年間に入れ替わる不動産鑑定士の人数は、ごくわずかであるというのが現実です。
また、古くからの業界特有の慣習が残っていることも、新規の参入を難しくさせている実情があります。
これらの事情により、親族の経営する鑑定事務所の跡を継ぐ予定の人を除くと、都市部の不動産鑑定会社や不動産会社などへの就職の道を選ぶ人が多いのが現実です。
個人開業者とは対照的に、信託銀行や大手不動産会社の鑑定部に勤務する不動産鑑定士は高い年収が期待できます。
特に学生の方は、これらの業種の企業への就職を検討するのもいいでしょう。
資料
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2018年
なお、3年に1回、固定資産税評価替えがあり、その年は100万円程度の年収の増加が期待できます。